みなさんこんにちは。
歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です!
伊藤から引き継ぎまして、コラムを書かせて頂くことになりました^^
よろしくお願いします☆
今回はオーラルフレイルについてお話していこうと思います。
目次
【8020運動と8029運動】
超高齢社会になった現在、歯の口の健康は全身へも影響し、健康長寿を実現する上で欠かせないものとなっています。
「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という8020運動はご存知の方も多いのではないでしょうか?
2016年には50%を超えていますが、高齢者の残っている歯の数が増加する一方で、歯周病罹患率が増加してきており、歯周病と全身疾患との関連性も指摘され始めています。
8029運動を聞いた事はありますか?
千葉県歯科医師会が「80歳になってもお肉を食べよう」という目標を掲げており、実際には肉のみならず魚や卵を含めた良質なタンパク質を摂取することにより、筋肉を維持し、健康を維持して社会参加できることを目標としています。
歯があってもバランスよく噛むことが大切で、よく噛めないということは多くの病気の引き金となります。
患者さん自身に自分の口腔内を把握してもらい、しっかり噛んで食べることで健康寿命を延ばすことができます!
【オーラルフレイルとは?】
オーラルフレイルという言葉を聞いたことはありますか?
「オーラル」と「フレイル」から成る造語で、日本で考案された概念です。直訳すると「口腔の虚弱」となります。
オーラルフレイルとは、口腔機能の低下によって日常生活に支障をきたす状態を指します。特に高齢者に多く見られ、歯の健康や噛む力、飲み込みの機能(嚥下機能)などが衰えることが特徴です。これにより、食事がしづらくなったり、栄養摂取が不十分になることがあります。また、口腔ケアが不十分だと、口腔内の感染症や歯周病のリスクが高まり、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
オーラルフレイルの主な症状とは
- 歯の喪失や咬合力の低下
- 嚥下機能の低下(食べ物が飲み込みにくい、むせやすい)
- 口腔乾燥(口の中が乾燥しやすい)
- 口臭や歯肉の腫れ
- 発音や話すことが困難になること
長寿だけでなく元気で長生きする「健康寿命の延伸」が重要視され、フレイル予防はその鍵となる重要なものです。
歳を重ねると徐々に体の力が弱くなり、外出する機会が減り、病気にならないまでも手助けや介護の必要性が高まってしまいます。
このように心と体の働きが弱くなってきた状態をフレイルと呼びます。
口に関するささいな衰えを放置したり、適切な対応を行わないままにしたりすることで、口の機能低下、食べる機能の障害、さらには心身の機能低下まで繫がる負の連鎖が生じてしまいます。
【老化とオーラルフレイルの違い】
老化(自然な衰え)とオーラルフレイルの違いは、オーラルフレイルが社会的問題(外出回数の減少など)、精神心理的問題(うつうつとした気分を持つ機会の増加など)と複合して生じている不自然な衰えであるところにあります。
しかしオーラルフレイルは、フレイルと同様に早期に気付き対策を行うことによってお口の機能低下を緩やかにし、失われつつある口腔機能を回復させる可能性があることが分かってきました。
逆に放置してしまうと、老化以上に口腔機能の低下が進行してしまいます。
ここが、老化とオーラルフレイルとの大きな違いです。
【オーラルフレイルの予防】
オーラルフレイルの予防には、口腔機能を維持し、全身の健康を支えるために定期的なケアと運動が重要です。
具体的な予防方法とは
1. 口腔ケアの徹底
歯磨き: 食後や寝る前に歯磨きを行い、歯垢や細菌を除去することが大切です。舌や口腔内全体も清潔に保ちます。
歯科医院での定期的な健診: 虫歯や歯周病を早期に発見し、適切な治療を受けることで、口腔機能の低下を防げます。
歯ブラシの使い方: 歯ブラシを正しく使い、歯と歯肉の間や奥歯の隙間を丁寧に磨くことが予防につながります。
舌のケア: 舌の掃除をすることで、口臭の予防や口腔内の清潔さを保つことができます。
2. 嚥下機能の維持
嚥下体操: 嚥下機能を保つために、飲み込む力を鍛える体操を取り入れます。例えば、唾を飲み込む練習や、首を前後に動かす運動などがあります。
食事時の工夫: 食べ物の大きさや硬さを調整して、飲み込みやすい食事にすることが大切です。食べるときはゆっくりと噛んで飲み込むことを意識します。
3. 栄養管理
バランスの取れた食事: 口腔機能が低下すると食べることが難しくなりますが、栄養をしっかり摂取することが重要です。柔らかい食材や、栄養価が高い食品を選ぶとよいでしょう。
高齢者向けの食事: 噛む力や飲み込みにくい場合、噛む必要のない柔らかい食品(刻み食やペースト状の食品)を工夫して取り入れるとよいです。また、ビタミンやミネラルが豊富な食品を摂ることが推奨されます。
4. 口周りの筋肉を鍛える
口周りの筋肉運動: 顎や唇、舌などの口周りの筋肉を鍛える運動(例えば、口を大きく開けたり閉じたりする運動、舌を動かす運動)を日常的に行うことが、オーラルフレイル予防に効果的です。
表情筋のエクササイズ: 顔全体を使って表情を作ることで、口周りの筋肉も刺激されます。
5. 水分補給と口腔乾燥対策
十分な水分摂取: 口腔乾燥はオーラルフレイルの一因となることがあるため、こまめに水分を摂取することが大切です。
加湿器の使用: 乾燥する季節には、部屋の湿度を保つために加湿器を使用することも有効です。
6. 健康的な生活習慣
適度な運動: 全身の筋力を保つことが、口周りの筋肉を含む筋力維持にも役立ちます。ウォーキングや体操など、定期的に運動を行うことが推奨されます。
禁煙と節度ある飲酒: 喫煙は口腔内の健康に悪影響を与え、歯周病や口腔乾燥の原因になります。飲酒も過剰摂取は口腔機能に悪影響を及ぼすことがあります。
7. 定期的な口腔のチェック
オーラルフレイルの兆候を早期に発見するために、定期的に歯科医師によるチェックを受けることが大切です。
これらの対策を実践することで、オーラルフレイルの予防と改善が可能となります。口腔機能の維持は、全身の健康にも大きな影響を与えるため、早期からの予防が重要です(>_<)
【オーラルフレイルと社会参加】
オーラルフレイルの予防や改善には、口腔機能の向上だけでなく、社会参加が重要な役割を果たすことがあります。
特に高齢者において、社会的なつながりや活動は心理的な健康を促進し、身体的な機能維持にも寄与します。オーラルフレイルと社会参加は密接に関連しています。
1. 社会参加と口腔機能の向上
社会的な活動に積極的に参加することは、口腔機能の向上にも繋がります。たとえば、家族や友人との会話や食事を共にすることは、嚥下や発声の練習になります。これにより、口腔機能の低下を防ぎ、コミュニケーション能力を維持することができます。
会話: 話すことや歌うことは、口周りの筋肉を使い、嚥下機能や言語機能を維持するのに役立ちます。
共食: 他者と一緒に食事をすることは、食べる楽しさを再認識し、食事の摂取量や質を向上させることができます。
2. コミュニケーションの重要性
高齢者が社会的に孤立すると、食事や会話の機会が減少し、口腔機能が低下するリスクが高まります。社会参加を通じて、人々とコミュニケーションを取ることは、心理的な安定感を与え、口腔の健康維持にもつながります。
孤立の防止: 高齢者の社会的孤立はオーラルフレイルを悪化させる一因となることがあります。逆に、社会参加は孤立感を減少させ、認知機能や口腔機能の低下を予防する助けになります。
精神的な支え: 社会的なつながりは、ストレスを軽減し、生活の質を向上させます。特に食事を共にすることで、嚥下機能や食事の楽しみが増します。
3. 地域活動や趣味活動
地域のイベントや趣味活動への参加もオーラルフレイルの予防に寄与します。例えば、地域の健康教室やシニア向けの食事作りのイベント、趣味としての手芸や音楽活動は、社会的つながりを持ちながら、口腔機能を意識した活動ができる場です。
嚥下体操や口腔体操: グループで行う体操は、参加者にとって楽しみながら続けられるため、口腔機能の維持に効果的です。
コミュニティでのサポート: 他の高齢者と一緒に活動することで、社会的な支援を受けやすく、孤立感の軽減にもつながります。
4. 社会的ネットワークの強化
地域社会でのネットワーク強化も、オーラルフレイルの予防に役立ちます。地域のサポートグループやシニアクラブなどに参加することで、口腔ケアに関する情報を得ることができ、また同じような悩みを持つ人たちと励まし合いながらケアを行うことができます。
オーラルフレイルを予防するためには、口腔機能を維持するだけでなく、社会的なつながりを持ち続けることが非常に重要です。
人との関わりを持ちながら、食事や会話を楽しむことが、身体的、精神的健康の維持に繋がり、最終的にオーラルフレイルの予防に役立ちます。
栄養をしっかり摂ること、食べる楽しみや社会とのつながりを通じて、その方が望む暮らしができるようサポートしていきたいと思います!
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