生活習慣病としての歯周病

生活習慣病としての歯周病


みなさんこんにちは!

歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です^^

暖かい日が増えて過ごしすい季節になりましたね!

今回は歯周病のリスクが上がる生活習慣とは?歯磨き以外でも注意すべき行動について書いていこうと思います。

はじめに

歯周病は、成人の約8割が何らかの形でかかっているとされる、非常に身近な病気です。初期には自覚症状が乏しく、放置すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて、最終的には歯が抜け落ちてしまう深刻な疾患です。多くの人が「毎日きちんと歯を磨いていれば大丈夫」と思いがちですが、実は歯磨きだけでは予防しきれない要因がたくさんあります。

歯磨き以外で注意すべき生活習慣や癖を詳しく解説しながら、それらがどのように歯周病と関係しているのかを見ていきます。

1. 喫煙習慣:血流と免疫の妨げ

タバコと歯周病の関係

喫煙は歯周病の最大のリスクファクターのひとつです。タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、毛細血管の収縮を引き起こし、歯肉への血流を悪化させます。血流が滞ることで、歯肉に必要な酸素や栄養素が届かず、組織の修復や免疫機能が低下します。

また、タバコの影響で白血球の働きも鈍くなるため、歯周病菌に対する防御力が著しく低下。さらに、喫煙者は歯肉の出血が起こりにくくなるため、歯周病の初期サインを見逃してしまいやすいという落とし穴もあります。

データで見る喫煙と歯周病の関係

日本歯周病学会の報告によると、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病になるリスクが約2~7倍に上昇すると言われています。禁煙後はリスクが徐々に低下し、10年程度で非喫煙者と同程度に近づくとされています。

2. ストレスと睡眠不足:免疫力を下げる見えないリスク

ストレスを抱える女性

ストレスが歯周病に与える影響は、心理的なものに留まりません。慢性的なストレスにさらされると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。これは本来、体の炎症を抑える働きをしますが、長期的に分泌され続けると免疫機能を弱めてしまいます。

また、ストレスは唾液の分泌も抑制します。唾液には抗菌作用や洗浄作用があるため、分泌量が減ると口腔内に歯周病菌が繁殖しやすくなります。加えて、ストレスは食いしばりや歯ぎしりの引き金になることもあり、歯周組織への物理的ダメージも無視できません。

睡眠不足も同様に、免疫系のバランスを崩します。特に深いノンレム睡眠時に行われる免疫細胞の再構築が妨げられ、感染症に対する抵抗力が下がります。

3. 食生活の乱れ:栄養とプラークの二重の問題

不規則な食事や、糖質過多の食生活は、歯周病の大きな原因となります。砂糖を多く含む食品や飲料を頻繁に摂ると、プラーク(歯垢)が口腔内に溜まりやすくなり、歯周病菌の温床となります。

さらに、栄養不足もリスク要因です。特に以下の栄養素が不足すると、歯肉の健康が損なわれます。

  • ビタミンC:コラーゲン生成に不可欠。欠乏すると歯茎の出血や炎症が起こりやすくなる。
  • ビタミンD:骨の代謝と免疫機能を調整。欠乏すると歯槽骨の減少リスクが高まる。
  • たんぱく質・カルシウム・亜鉛:歯や歯肉の再生・修復に重要な役割を果たす。

また、時間が不規則でダラダラ食べ続ける習慣がある人も注意が必要です。唾液が中和・洗浄する時間がなくなり、菌が定着しやすくなります。

4. 歯ぎしり・食いしばり:目に見えない“圧力”

歯ぎしり

歯ぎしりや食いしばりは、歯に過度な力をかけることで歯の根元や歯周組織にダメージを与えます。これにより歯周ポケットが深くなったり、歯肉が下がったりする「外傷性咬合」と呼ばれる問題が生じ、歯周病の進行を早めてしまいます。

夜間無意識に行われることが多いため、自覚がないまま症状が進むことも少なくありません。睡眠中のマウスピース装着や、ストレスコントロールで症状を緩和する治療が行われます。

5. 運動不足と歯周病の意外な関係

運動する人達

運動不足によって全身の血流が低下すると、歯肉の細胞にも十分な栄養や酸素が行き渡らなくなります。また、運動不足は肥満や糖尿病などの生活習慣病にも直結し、これらはすべて歯周病の重症化と深く関係しています。

あるアメリカの研究では、「週に3回以上、中強度の運動をしている人は、歯周病のリスクが約30%低い」との報告もあります。体を動かすことが、結果的に口腔内の健康にもつながるのです。

6. 糖尿病や全身疾患との関係

糖尿病患者は、そうでない人と比べて歯周病の発症リスクが約2〜3倍高いとされます。血糖値のコントロールが悪いと、白血球の働きが弱まり、細菌感染に対する防御力が低下します。さらに、歯周病が慢性的な炎症を引き起こすことで、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなる悪循環に陥ります。

また、歯周病菌が血流に入り込むと、心臓病や脳梗塞、さらには妊婦の早産・低体重児出産とも関連があることが分かってきました。歯周病は、全身の健康に影響を与える「炎症性疾患」として位置付けられています。

まとめ:生活習慣を変えることが最大の予防策

歯磨きだけではカバーしきれない、歯周病の原因。私たちの「生き方」そのものが、歯茎の健康を左右すると言っても過言ではありません。

  • 禁煙する
  • ストレスを溜めず、睡眠をしっかりとる
  • バランスの取れた食事と規則正しい食生活
  • 歯ぎしり・食いしばりへの対処
  • 適度な運動習慣
  • 糖尿病などの全身疾患の管理

これらを意識的に改善することで、歯周病は確実に予防・進行抑制が可能です。歯科医院での定期的なチェックと専門的なケアを受けつつ、日々の生活の中で「自分の歯と歯肉を守る」意識を持つことが、未来の健康への第一歩となります。

歯を守る歯科では患者さまお一人おひとりに合わせて、治療からその後のサポートまでしっかりと行います。

歯周病についてお悩みの方はお気軽にご相談くださいね。

ご来院心よりお待ちしております!