みなさんこんにちは!
歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です^^
だんだん暖かくなってきていますね!
桜が咲くのが待ち遠しいです。。
さて今回は歯周病が口以外に与える影響 〜全身疾患との関係〜について書いていこうと思います。
目次
はじめに
歯周病は単なる口の病気ではなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになっています。日本では成人の約8割が何らかの歯周病を抱えていると言われていますが、その多くは歯や歯肉の問題としてしか認識されていません。しかし、歯周病は慢性的な炎症性疾患であり、口腔内の細菌が血流を介して全身へ影響を及ぼすことで、さまざまな疾患と関連していることが明らかになっています。
1. 歯周病とは?

歯周病とは、歯を支える歯肉や骨が炎症を起こし、最終的に歯を失う可能性のある病気です。主な原因は歯垢(プラーク)に含まれる細菌であり、これが歯肉に炎症を引き起こします。歯周病の初期段階では「歯肉炎」として現れ、適切なケアを行えば改善可能ですが、放置すると「歯周炎」へと進行し、歯槽骨の破壊が進んでしまいます。
2. 歯周病が全身に及ぼすメカニズム
歯周病が全身疾患と関連する主なメカニズムは以下の3つです。
① 口腔内の細菌が血流に侵入する
歯周病が進行すると、炎症によって歯肉の血管が傷つき、細菌が血流に入り込む可能性があります。これが全身を巡り、さまざまな疾患を引き起こす原因となります。
② 慢性的な炎症が全身に影響を与える
歯周病は慢性的な炎症を伴う疾患です。この炎症によって放出されるサイトカイン(炎症性物質)が血流に乗ることで、他の臓器や組織にも影響を与えます。
③ 免疫系の過剰反応
歯周病菌に対する免疫反応が過剰になると、自己免疫疾患の発症リスクが高まる可能性があります。これは、歯周病菌が体内の他の細胞と類似した構造を持っているため、免疫系が誤って自身の細胞を攻撃してしまうことが原因と考えられています。
3. 歯周病と関連する全身疾患

① 心血管疾患(動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞)

歯周病と心血管疾患の関連性は、多くの研究で報告されています。歯周病菌が血管内に侵入すると、血管の炎症や動脈硬化を引き起こすことが分かっています。また、歯周病患者では血液中のCRP(C反応性タンパク)が高くなる傾向があり、これは心血管疾患のリスク因子とされています。さらに、歯周病菌が動脈硬化の原因となるプラーク(粥状物質)を形成し、血流を妨げることで心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
② 糖尿病
糖尿病と歯周病は「双方向性」の関係があることが知られています。糖尿病患者では免疫機能の低下や血流障害が起こりやすく、歯周病が悪化しやすくなります。一方、歯周病による慢性的な炎症はインスリン抵抗性を引き起こし、血糖コントロールを悪化させる可能性があります。実際に、歯周病治療を行うことで血糖値(HbA1c)の改善が見られるという研究結果もあります。
③ 認知症(アルツハイマー病)

近年、歯周病がアルツハイマー病の発症リスクを高める可能性が指摘されています。歯周病菌の一種であるポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)が脳内で発見され、これがアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの沈着を促進することが分かっています。また、歯周病による慢性的な炎症が脳の神経細胞にダメージを与え、認知機能の低下を引き起こす可能性も示唆されています。
④ 誤嚥性肺炎
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が誤って気道に入り込み、肺で炎症を起こす病気です。歯周病菌はこの肺炎の原因菌としても知られており、特に寝たきりの高齢者や嚥下機能が低下している人ではリスクが高まります。適切な口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の発症率を低下させることが可能です。
⑤ 早産・低体重児出産

妊婦の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高めることが分かっています。歯周病による炎症性物質が胎盤に影響を与え、子宮収縮を促すことで早産を引き起こす可能性があります。妊娠中はホルモンバランスの変化によって歯周病が悪化しやすいため、定期的な歯科健診が重要です。
4. 歯周病予防と全身の健康管理
歯周病の予防は、全身の健康維持にも直結します。以下のポイントを意識することが大切です。
① 正しい歯磨きとフロスの使用
歯周病予防には歯垢の除去が最も重要です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯の間の汚れもしっかり取り除きましょう。
② 定期的な歯科健診と専門的なクリーニング
歯科医院でのプロフェッショナルケア(スケーリングやPMTC)を受けることで、普段の歯磨きでは落としきれない汚れを除去できます。
③ 生活習慣の改善(食事・運動・禁煙)
バランスの取れた食事や適度な運動は、歯周病予防にも役立ちます。また、喫煙は歯周病の最大のリスク因子の一つであるため、禁煙を検討しましょう。
おわりに
歯周病は口の中だけの問題ではなく、心血管疾患、糖尿病、認知症など、多くの全身疾患と深く関わっています。毎日の適切な口腔ケアと定期的な歯科受診を心がけることで、歯周病の予防と全身の健康維持が可能になります。今一度、ご自身の歯と健康について見直してみてはいかがでしょうか?
歯を守る歯科では、歯周病予防のために染め出しを行って、磨き残しがある部分は、患者さんご自身が正しいブラッシングができるようにご指導させていただいております!
一緒に歯周病の治療や予防を頑張っていきましょう!
ご来院心よりお待ちしております。