歯と健康寿命の関係|本数や義歯の有無で変わる健康リスクとは?

歯と健康寿命の関係|本数や義歯の有無で変わる健康リスクとは?


みなさんこんにちは!

歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です♪

先日上野動物園に行ってきました!動物をみると癒されますよね~(*´-`)

歯を守る歯科の受付に、可愛い動物のぬいぐるみ達がおで迎えしてくれますので見てみてくださいね!

上野動物園の動物

歯と健康寿命の関係|本数や義歯の有無で変わる健康リスクとは?

「歳をとっても、自分の歯でおいしく食べたい」——多くの方がそう願うのではないでしょうか。

しかし現実には、年齢とともに歯を失う人が多く、80歳の時点で自分の歯が20本以上残っている人の割合は、まだ半数に届いていません。

近年の研究では、歯の本数や噛む力が単に「食べる」ためだけでなく、全身の健康や寿命に深く関わっていることが明らかになってきました。

今回は、「歯の健康」と「健康寿命」の密接な関係について、最新の知見をもとに詳しくご紹介します。

健康寿命とは?平均寿命との違い

まず「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、介護を受けたり寝たきりになったりせず、自立して生活できる期間を指します。

厚生労働省の統計によると、2022年時点での日本人の平均寿命は、男性81.05歳・女性87.09歳。

一方、健康寿命は男性72.68歳・女性75.38歳です。

つまり、多くの人が人生の最後の約8〜10年間を、何らかのサポートを受けながら過ごしているということになります。

この「健康に生きる期間」を延ばすことが、医療の大きな目標となっています。

そして、そのために欠かせない要素のひとつが「歯の健康」なのです。

歯の本数が多い人は健康で長生きする?

「8020運動(80歳で20本以上の歯を残そう)」というスローガンをご存じの方も多いでしょう。

この運動の背景には、歯の本数と健康状態の関係を示す明確なエビデンスがあります。

厚生労働省や大学の研究によると、自分の歯が20本以上ある人は、20本未満の人に比べて要介護になるリスクが約1/2歯が多い人ほど、糖尿病・脳梗塞・認知症の発症リスクが低いという結果が報告されています。

理由は単純で、「歯が多い=よく噛める=栄養状態が良い」という健康の基本が成り立つからです。

肉や野菜、ナッツなど、しっかり噛まなければ食べられない食材を摂取できることで、たんぱく質やミネラル、ビタミンが自然と確保されます。

その結果、筋力低下(サルコペニア)やフレイル(虚弱)、免疫低下の予防にもつながります。

噛む力が衰えると、脳の働きも衰える

「噛む」という動作は、脳を活性化させる重要な刺激でもあります。

食事中に咀嚼を行うと、脳の血流が増加し、特に記憶を司る「海馬」が活発に働くことがわかっています。

東京大学や東北大学の研究では、奥歯が少ない人ほど海馬の体積が小さく、認知症リスクが高いというデータもあります。

つまり、「噛むこと」は脳の健康を守る“天然の脳トレ”なのです。

一方で、歯を失って噛む力が低下すると、食事量や栄養摂取も減り、筋肉や体力の低下、意欲の減退など悪循環に陥る危険性があります。

「食べられない」「噛めない」は、単に口の問題ではなく、身体と心の衰えを進めるサインでもあるのです。

歯を失うと起こる「食べる力の衰え」

歯が少なくなると、硬いもの・繊維質の多い食べ物が噛みづらくなります。

結果として、柔らかい食品や炭水化物中心の食生活に偏り、たんぱく質・ビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。

栄養の偏りは、筋肉量の減少(サルコペニア)やフレイルにつながり、転倒・骨折・寝たきりのリスクを高めます。

また、「歯がないから外で食事をしたくない」「人と話すのが恥ずかしい」と感じて外出を控えるようになると、社会的なつながりが減り、うつや認知症の発症リスクも上がってしまいます。

歯を失うことは、見た目や食事だけでなく、心と社会との距離を広げてしまうのです。

義歯・ブリッジ・インプラントで「噛む力」を取り戻す

とはいえ、歯を失ってしまっても、すべてを諦める必要はありません。

現代の歯科医療では、義歯(入れ歯)・ブリッジ・インプラントなどの補綴(ほてつ)治療によって、噛む機能をしっかり回復することが可能です。

適切に作られた義歯やインプラントを使用することで、

  • 栄養状態の改善
  • 発音や表情の回復
  • 脳への刺激の維持
  • 認知症・転倒リスクの低下

といった効果が期待できます。

特に、入れ歯を「痛い」「合わない」と我慢して使わないままにしておくと、顎の骨がどんどん痩せてしまい、さらに合わなくなっていく悪循環に陥ります。

定期的な調整やリベース(裏打ち直し)を行いながら、快適に使うことが大切です。

歯周病と全身疾患の関係

歯を失う最大の原因は「歯周病」です。

この歯周病は、単なる口の中の病気ではなく、全身の病気と密接に関係していることがわかっています。

歯周病菌は血流を介して体内を巡り、炎症を引き起こします。

その結果、

  • 糖尿病(血糖コントロールの悪化)
  • 動脈硬化・心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 早産・低体重児出産
  • アルツハイマー型認知症

など、さまざまな疾患との関連が報告されています。

つまり、歯周病を治療・予防することは、全身の健康を守る第一歩でもあるのです。

健康寿命を延ばすためにできること

歯を守り、健康寿命を延ばすために、今日からできることはたくさんあります。

歯科医院のスタッフ

① 定期的な歯科検診を受ける

「痛くないから行かない」ではなく、「痛くならないように行く」ことが大切です。

3〜6か月ごとの定期検診で、歯石除去・歯ぐきチェック・噛み合わせ調整を行うことで、歯を長く保つことができます。

② 正しいセルフケアを習慣に

歯ブラシだけでは歯の汚れの6割程度しか落とせません。

歯間ブラシやデンタルフロスを使い、1日1回は丁寧にすき間の汚れを落とすようにしましょう。

また、フッ素入り歯みがき剤の使用もむし歯予防に効果的です。

③ 噛む習慣を意識する

柔らかい食品ばかりに偏らず、噛みごたえのある食材を意識的に取り入れましょう。

「よく噛む」「左右均等に噛む」ことを心がけるだけでも、脳や顎の健康を守ることにつながります。

④ 義歯のメンテナンスを怠らない

義歯も歯と同じように、毎日の清掃と定期的なチェックが必要です。

汚れを放置すると口臭やカンジダ菌の繁殖を招きますし、合わないまま使うと顎関節にも負担がかかります。

「歯の寿命」は「人生の寿命」

歯を1本失うたびに、噛む力やバランス、全身の健康は少しずつ変化していきます。

しかしその逆に、1本の歯を守ることで、「食べる」「話す」「笑う」——人生の質(QOL)を守ることができるのです。

健康寿命を延ばす秘訣は、運動や食事だけではなく、日々の歯のケアにあります。

歯は私たちの「体の一部」であり、同時に「生きる力」を支えるパートナーです。

まとめ

  • 歯の本数が多い人ほど、要介護や認知症のリスクが低い
  • 噛むことは脳を刺激し、健康寿命を延ばす
  • 義歯やインプラントで噛む力を補うことが重要
  • 歯周病は全身疾患の引き金になるため、早期治療が必須
  • 定期検診と毎日のケアが「歯の寿命」を延ばす

歯を守ることは、人生を守ること。

1本1本の歯が、あなたの健康と笑顔を支えています。

ぜひ今日から、「歯の健康」を見直す習慣を始めてみてましょう!

歯を守る歯科は患者様一人ひとりに寄り添い治療を進めて参ります。ご来院心よりお待ちしております。

上野動物園で購入したぬいぐるみ