象牙質知覚過敏症

象牙質知覚過敏症


冷たいものが歯にしみて痛いと感じている女性

みなさんこんにちは!

歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です^^

お水が冷たいこの季節。

「冷たいものが歯にしみて痛い」と思ったことはありませんか?

もしかすると、その症状は「知覚過敏」かもしれません。

今回は知覚過敏について、書いていこうと思います。

知覚過敏の症状は、虫歯の症状にもよく似ていますが、両者の原因は全く異なります。

知覚過敏の正式名称は「象牙質知覚過敏症」です。

冷たいものや酸っぱいものを食べたり飲んだりしたときや、歯ブラシの毛先が歯に触れたとき、風が歯に当たったときなどの刺激で、ズキっとした一過性の痛みを感じることがあります。

とくに、虫歯などの形跡が見当たらないのに、歯の知覚が過敏になっている場合にみられる症状です。

●知覚過敏の原因

知覚過敏は、歯周病や加齢、不適切なブラッシング、歯ぎしり・食いしばりなどが原因で歯肉が退縮してしまい、歯の根の部分である象牙質が露出することで起こります。

健康な歯肉であれば、歯の根の部分は歯肉に覆われて刺激から守られています。

しかし、歯周病などで歯肉が退縮すると象牙質が露出しますので、冷たいものなどの刺激が神経に伝わりズキっとした痛みを感じてしまいます。

知覚過敏の痛みは一時的に感じる痛みなので、刺激が無くなると痛みも感じなくなります。

●知覚過敏のメカニズム

歯肉が退縮して歯の根が露出すると、象牙質が露わになります。

象牙質には「象牙細管」と呼ばれる歯の神経につながる無数の穴があいているため、象牙細管を通して刺激が歯髄へと伝わり、痛みを感じてしまうのです。

●知覚過敏と虫歯の違い

知覚過敏で感じる痛みと虫歯の痛みはとても似ているため、この2つを見極めるのは少し難しいかもしれません。

知覚過敏と虫歯は、両方とも温度刺激や甘いものを食べたときに、刺激に敏感になりますが、それぞれ痛みの感じ方など異なる部分もあります。

○知覚過敏の特徴

・痛みの感じ方は一過性
・打診痛(歯を叩いたときの痛み)は無い
・前歯や小臼歯のあたりが好発部位(病変が起こりやすい部位)

知覚過敏の場合、冷たいものや歯ブラシの刺激などを受けたときに、一時的に神経に刺激が伝わり「ズキっとした痛み」や「キーンとしみる感じ」がありますが、刺激がなくなれば痛みもなくなります。

前歯や小臼歯のあたりによくみられる症状で、歯を叩いたときに響くような痛みが無いのが特徴です。

○虫歯の特徴

・細菌感染が原因で引き起こされる
・慢性的に続けて痛みを感じる
・打診痛がある(歯を叩くと響くような痛みを感じる)
・特定の部位はない

虫歯は、細菌の感染が原因で引き起こされます。

初期の段階では、冷たいものや甘いものなどがしみたりしますが、症状が進行すると慢性的にズキズキとした痛みや歯を叩くと響くような痛みを感じるようになります。

知覚過敏は前歯や小臼歯に多く見られる症状ですが、虫歯は個人差があり特定の部位はありません。

しかし、虫歯の好発部位は「歯と歯の間」「歯と歯肉の境目」「奥歯の溝の部分」ですのでこのあたりに気をつけて歯を磨きましょう。

●知覚過敏を引き起こす要素

○歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりをしている様子

歯ぎしり・食いしばりは、知覚過敏を引き起こす大きな要素です。

この癖が日常的にあると、歯に強い力がかかり歯の表面のエナメル質に大きな負担が加わることで、エナメル質に傷がついたり亀裂が入ったりする場合もあります。

また、歯に不適切な力がかかると、象牙質が露出し「くさび状欠損」を起こしてしまうことがあります。

くさび状欠損は、おもに犬歯の唇側面や小臼歯の頬側面によく見られる症状です。

歯ぎしりや食いしばり、強いブラッシングが原因で引き起こされます。

象牙質が露出することで外からの刺激が加わると、神経に刺激が伝わり痛みを感じるようになります。

歯ぎしりや食いしばりは、無意識に行われていることが多いため、なかなか自分では気づきにくいかもしれません。

次のような症状がある方は、知らず知らずのうちに歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。

・被せ物の歯や詰め物が取れやすい
・頬の内側に白い線のようなものがある
・歯が割れたことがある
・朝起きたときに顎がだるく痛みを感じる
・歯周病が治りにくい
・肩こり、頭痛がある

●歯肉の退縮

健康な歯肉の場合、象牙質の部分は歯肉に覆われ外からの刺激に守られています。

歯肉の退縮を引き起こす原因は、歯ぎしり・食いしばりのほかに次のようなことが関係していると考えられます。

●歯周病

歯肉が退縮するおもな原因は歯周病です。

歯周病は、細菌感染が原因で歯肉に炎症が起きる疾患で、時間をかけて徐々に進行していくため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれています。

歯周病になると、歯肉が赤く腫れ、出血や口臭などの症状がみられます。

症状がひどくなると、歯肉が退縮し歯を支えている骨が溶け、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。

●不適切なブラッシング

毎日の歯磨きは非常に大切です。

しかし、不適切なブラッシングによって知覚過敏の症状を引き起こしてしまうことがあります。

力を入れてゴシゴシと歯を磨いたり研磨剤入りの歯磨き粉を使ったりすることで、歯面を傷つけてしまうことがありますので適切な力で磨きましょう。

○知覚過敏の治療法

知覚過敏の症状は、歯周病や加齢、不適切なブラッシング、歯ぎしりや食いしばりなどの影響で歯のエナメル質がすり減り、象牙質が露出することで引き起こされます。

歯科医院で行う知覚過敏の処置には、以下のようなものがあります。

●薬の塗布

知覚過敏の症状を抑える薬はさまざまな種類があります。

象牙質が露出した部分にしみ止めの薬を塗布することで、歯髄に刺激を伝わりにくくしてくれます。

●詰め物をする

歯の根元がくさび状に欠けて知覚過敏の症状がある場合は、歯科用プラスチックの材料で詰め物をします。

●歯周病の治療

歯周病が原因で歯肉が下がっている場合は、歯周病の治療が必要です。

●フッ素塗布

フッ素は、歯質を強化する作用があるため、知覚過敏を抑える効果が期待できます。

●かみ合わせの調整

かみ合わせが原因で歯に負担がかかり知覚過敏を引き起こしている場合は、強く当たっている部分を削りかみ合わせを調整します。

●ナイトガード

歯ぎしり・食いしばりが原因となって知覚過敏を引き起こしている場合は、歯のダメージを軽減するためナイトガードを装着します。

●神経をとる

知覚過敏の症状が強く日常生活に影響がでてしまっている場合は、神経を取る治療を行う場合があります。

○知覚過敏へのセルフケア方法

歯ブラシをゴシゴシと強く動かしてしまうと、歯の表面のエナメル質が削れて象牙質が露出してしまうため、力を入れすぎないように気をつけて磨きましょう。

●歯は毎日磨く

知覚過敏になると、歯の表面に歯ブラシの毛先が当たることで痛みを感じるため、痛みがある部分は歯磨きがおろそかになってしまいがちです。

虫歯や歯周病を防ぐためにも、歯ブラシの毛先をきちんと当てて磨きましょう。

口の中は清潔に保つことが重要ですので冷たい水がしみる方は、ぬるま湯でうがいされることをおすすめします。

●強く磨かない

歯をゴシゴシと強く磨きすぎると、歯肉が下がったり歯のエナメル質が摩耗したりすることがあります。

その結果、象牙質が露出し知覚過敏を引き起こす原因にもなるので、歯ブラシの動かし方にも注意が必要です。

歯ブラシは軽い力で小刻みに動かすように磨きましょう。

●歯ブラシの毛先は柔らかめを選ぶ

歯をゴシゴシと強く磨きすぎないようにするためには、毛先が柔らかめの歯ブラシを選ぶのもおすすめです。

歯や歯肉にやさしい歯ブラシを使用して、適切なケアを心がけましょう。

○知覚過敏専用の歯磨き粉

知覚過敏症状を防ぐ歯磨き粉には「乳酸アルミニウム」や「硝酸カリウム」などの成分が含まれています。

●おもな薬用成分

・乳酸アルミニウム

刺激の伝わる象牙細管の入り口をふさぐ薬用成分

・硝酸カリウム

刺激の伝達を防ぐ薬用成分

この2つの成分が作用することで、知覚過敏の症状を軽減できるため、継続しての使用をおすすめします。

虫歯を疑って来院される方の中には、虫歯ではなく知覚過敏である方が多くいます。

知覚過敏であった場合は、痛みやしみが一時的で、長くとも10秒程度の間に症状が落ち着きます。

この知覚過敏は、生活習慣によって引き起こされることが多いため、治療はもちろん根本原因を患者さまと一緒に探っていけたらと思いますので、是非ご相談下さいね!

ご来院お待ち心よりお待ちしております(_ _)