歯周病はうつる?子どもの歯の健康を守る新しい常識

歯周病はうつる?子どもの歯の健康を守る新しい常識


歯を守る歯科西新宿五丁目の歯科衛生士の園川です♪

先日秋季歯周病学会が新潟で開催されたので参加してきました!その中で特に学びになったことを書いていこうと思います^^

学会出席時の記念撮影

離乳食前から始まる“お口の感染予防”

「歯周病は大人の病気」と思っていませんか?

実は今、「歯周病は感染症」であり、家族間でも“うつる”ことがあるという事実が注目されています。

しかも、最新の研究では——なんと離乳食を始める前の赤ちゃんの口の中にも、すでに菌が定着し始めていることが分かってきました。

歯周病の感染の仕組みと、赤ちゃんや子どもの歯を守るために知っておきたい“新しい常識”について詳しくお話しします。

歯周病は「細菌による感染症」

歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきが炎症を起こして壊れていく病気です。

原因は「歯周病菌」と呼ばれる細菌による感染。

お口の中には500〜700種類もの細菌がすんでおり、歯磨き不足や免疫力の低下によって、プラーク(歯垢)の中で歯周病菌が増殖します。

つまり、歯周病は“うつる病気”=感染症なのです。

風邪のように咳やくしゃみではうつりませんが、「だ液を介して」家族間で菌が移ることがあります。

ただし、感染しても必ず発症するわけではなく、「菌が住みつきやすい口内環境」があると発症・進行しやすくなります。

歯周病菌はどのようにうつる?

歯周病菌は、主にだ液を介して感染します。

そのため、家族の何気ない行動の中に感染経路が潜んでいます。

  • 親子で同じスプーンや箸を使う
  • 食べ物を口移しで与える
  • コップやペットボトルの共有
  • キスなどのスキンシップ

こうした日常の接触を通じて、親の口内にいる歯周病菌が子どもの口に移ってしまうことがあります。

特に「ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g.菌)」という歯周病菌は、一度定着すると除去が難しく、将来的に歯周病を起こす要因となります。

新常識!離乳食開始前にすでに菌はうつっている?

最近の研究で、「赤ちゃんの口の中には生後数か月のうちに、すでに母親や家族由来の細菌が入り始めている」ことが明らかになりました。

つまり、離乳食を始める前から、お口の中の“菌のすみかづくり”が始まっているのです。

これは、赤ちゃんが生まれてからのスキンシップや授乳の際など、だ液を介した接触で菌が少しずつ移動するためです。

決して悪いことではありません。菌の存在自体は自然なもので、すべての菌が悪者というわけではありません。

大切なのは、「どんな菌が優勢になるか」というバランスです。

つまり、親のお口の中の環境が、そのまま子どもの口内細菌の基盤になるということ。

だからこそ、「歯が生える前から親が健康な口を保つこと」が、子どもの将来の歯周病やむし歯リスクを大きく左右するのです。

子どもの口に歯周病菌がうつるとどうなる?

子どもにうつった菌がすぐに病気を起こすわけではありませんが、一度定着した歯周病菌は、長年にわたって口の中にとどまり、将来的に歯ぐきの炎症や歯周病のリスクを高めます。

実際に、小学生でも歯ぐきが赤く腫れる「小児歯肉炎」が見られるケースがあります。

これも初期のサインの一つ。早い段階からお口の環境を整えることで、大人になっても歯周病になりにくい健康な土台を作ることができます。

親のケアが最大の予防に

子どもを歯周病菌から守る最も効果的な方法は、親御さん自身が健康なお口を保つことです。

親の口の中に歯周病菌が多いほど、子どもへの感染リスクが高くなります。

親御さんができること

  • 定期的に歯科検診・クリーニングを受ける
    歯石やバイオフィルムを取り除き、菌の温床を減らします。
  • 正しい歯磨きとフロス・歯間ブラシの習慣化
    特に歯と歯ぐきの境目を丁寧にケアすることが大切です。
  • 生活習慣の改善
    喫煙・睡眠不足・ストレス・糖質過多は歯周病を悪化させます。
  • PMTCや唾液検査の活用
    プロによるクリーニングや、菌の種類を調べる検査も有効です。

親が健康でいれば、自然と子どものお口も守られます。

つまり、「家族全員の予防」が子どもの未来の歯を育てるのです。

学会の様子

家庭でできる感染予防のポイント

次のような工夫で、家庭内感染のリスクを大きく減らすことができます。

  1. スプーン・箸・コップの共有は避ける
    お子さん専用の食器を用意しましょう。
  2. 口移しで食べ物を与えない
    だ液を介した菌の感染を防げます。
  3. 歯磨きは親子で一緒に
    楽しく習慣化でき、仕上げ磨きも丁寧に。
  4. 仕上げ磨き前後の手洗い・うがいを忘れずに
    だ液の接触を最小限に。
  5. 家族全員で定期検診を受ける
    「家族で予防」が一番の感染対策です。

歯周病は「生活習慣病」でもある

歯周病は感染症であると同時に、生活習慣病でもあります。

食生活の乱れや睡眠不足、ストレス、喫煙は、菌の繁殖や免疫力の低下を招きます。

つまり、口の中の健康は体全体の健康と深くつながっているのです。

家族でバランスの取れた食事・十分な睡眠・適度な運動を心がけることも、歯周病の予防になります。

まとめ|赤ちゃん期から始まる“お口の教育”

歯周病は大人の病気ではなく、家族みんなで取り組む感染症予防の時代へ。

離乳食前の赤ちゃんの口にも、すでに菌は存在しています。

だからこそ、親の健康な口腔環境が子どもの未来の健康を左右するのです。

  • 親が歯周病を予防・治療する
  • 食器やスプーンを共有しない
  • 家族で定期的に歯科検診へ

これらを意識するだけで、歯周病もむし歯もぐっと防ぎやすくなります。

お口の健康は、家族の笑顔を守る“最初の予防医療”。

今日からできる小さな習慣で、お子さんの将来の健康な歯を守りましょう。

歯を守る歯科ではご家族で通われている方が多くおられます。虫歯になってからではなく、家族みんなで予防に取り組んでいきましょう♪♪

ご来院心よりお待ちしております。

学会の思い出