なぜ歯科医院は何度も通わせるのか。
患者さんからしたら当然抱く疑問・不満かと思います。
これに関して、結論を先に言うと
- 治療の内容自体が、そもそも複数回来院を前提としていること
- 保険診療で進める限り仕組み上避けられないこと
です。
①治療の内容自体が、そもそも複数回来院を前提としていること
まず①について、歯科医院において、一日では絶対に終えられない処置があることをご認識いただきたいです。
例えば、詰め物や被せ物、入れ歯を作製する上で、型取りをした後に技工所に模型を送り、歯科技工士さんに作っていただく必要があります。その後、技工物を医院にて受け取り患者さんのお口の中に装着する。
この工程だけで約1週間の期間がかかります。
また、歯の根っこの治療は回数がかかる傾向にあります。そもそも、根っこの中にガッタパーチャポイントというゴムの様な詰め物を詰める根管充填に関して、適切な充填時期があり、その日のうちに根管充填をしない方がよい場合があります。
また、歯周病治療は検査⇒処置⇒検査と、検査に始まり検査に終わる。処置の効果判定のために1週間、もしくは2週間以上空ける必要があります。
以上のように物理的にその日のうちに終えられない処置が歯科には多々あります。
また、歯医者は人様の歯を削る、歯肉にメスを入れる等の外科処置を日々おこなっています。髪の毛一本単位の極めて繊細な世界で闘っている領域ですので、本気で治療をしようと思うほど時間を要し回数がかかるというジレンマとは隣り合わせです。
②保険診療で進める限り仕組み上避けられないこと
②については、保険診療で進める限りでは、レセプトの平均点が上がるとお上に目を付けられるという大人の事情があります。
歯科医師の本音として、一日で一気に進めていきたい気持ちは当然ありますが、限られた診療時間の中で行える治療にそもそも限度があること。
保険診療に則った場合、クリーニングひとつとっても、歯周病の診査・診断の元進めていき、部位ごとに回数を分けてクリーニングする必要があります。
よくある誤解として、「何度も通わせて儲けようとしているのでは?」という意見があります。しかし、治療の為に何度も何度も予約をおとりすると保険診療においては、逆に医院経営は苦しくなるという裏の現実があります。
そもそも、歯医者が大好きで毎日行きたいという方はあまりいらっしゃらないと思います。その気持ちはわかります。
そこで、こんな考え方をすると良いのではないかと我々は考えております。
歯医者に「行かないで済むよう」にすること。
予後の良い治療を行いメインテナンスへ移行する。皆様ご自身も歯を守るために歯に興味を持っていただき正しいセルフケアをしていただく。
そうすることで結果として、歯医者に行かないで済むのではないかと思います。
是非、重症化して何度も通わなければならなくなる前に、ご自身の歯に興味をもっていただき歯科医院を早期に受診されてください。
歯を守る歯科西新宿五丁目
堤 一生